- 名前:
- 深津 暖
- 学年/肩書:
- 博士課程前期課程2年
- 役職:
- 研究者
- グループ:
- ロボット
- 趣味:
- サッカー観戦、音楽鑑賞
研究テーマ / Research topic
体表面刺激により着用者に所望の運動方向を知覚させる衣服型デバイスの設計
研究概要
私は、「動く服」によって運動学習を直感的に支援する研究をしている。
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運動学習とは目的の身体運動を獲得する一連の過程であり、リハビリやスポーツ、ダンスといった広い分野で重要である。現状行われている運動学習の支援方法としては、映像などを用いた視覚的な方法が一般的であるが、非直感的で学習者が自ら誤差に気づくことが困難であり、目標の運動とずれが生じやすいという課題がある。
アシストスーツのような装着型デバイスを活用することで、直感的な運動学習支援が見込める。しかし、既存のアシストスーツは関節部にトルクを与えることで装着者の関節部を強制的に駆動するため、主体的な運動学習を阻害する恐れがある。
そこで、新たなアプローチとして体表面刺激に着目し衣服型デバイスを作成した。衣服型デバイスは、布状アクチュエータ[1]の知見を基にMcKibben型人工筋を衣服表面に配置したデバイスであり、McKibben型人工筋の収縮状態を制御することで多様な変形が可能である。強制力ではなく衣服変形に伴う体表面刺激により装着者に運動方向を知覚させることで、主体的な運動修正の支援が可能である。我々は体幹部の基礎検討[2]を基に適用部位を拡張し、全身の多様な運動学習に対応した衣服型デバイスの実現を目指す。
提案する衣服型デバイス
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布状アクチュエータとは、布の表面に空気圧によって収縮するMcKibben型人工筋を配置したもので、下の動画のように前屈、側屈、回旋といった多様な変形が可能である。
本研究では、衣服を対象にMcKibben型人工筋を配置を行う。布状アクチュエータと同様に衣服の多様な変形を行うことで、着用者に体表面刺激を与え、着用者に運動方向を知覚させる。人工筋の配置方法は確立されていないが、私は身体動作を生み出す際に主として働く主動作筋に着目し、主動作筋の位置に合わせて人工筋を配置している。主動作筋上に実際の筋収縮と同方向の衣服変形を生じさせることで、運動方向の知覚検証を行っている。
これまでの研究内容
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肩外転動作の動きを対象に「動く服」を試作し、被験者実験を行った。その結果、試作した「動く服」により装着者に対して肩外転動作を誘発可能であることを確認した[3]。現在は全身部位に対象を拡張し、衣服型デバイスの試作及び被験者実験による検証を進めている。
参考文献
[1]Yuki Funabora. Flexible fabric actuator realizing 3d movements like human body surface for wearable devices. In 2018 IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS), pages 6992–6997. IEEE, 2018.
[2] Yanhong Peng, Yusuke Sakai, Koki Nakagawa, Yuki Funabora, Tadayoshi Aoyama, Kenta Yokoe, and Shinji Doki. Funabot-suit: A bio-inspired and mckibben
muscle-actuated suit for natural kinesthetic perception. Biomimetic Intelligence and Robotics, 3(4):100127, 2023.
[3]深津 暖, 舟洞 佑記, 道木 慎二, 青山 忠義, “細径人工筋による衣服変形を活用した肩外転動作誘導の基礎検討”, Robomech2023 予稿集, 6, 2023.