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図1 二重三相同期モータ駆動システム
二重三相同期モータ駆動システムは、二つの三相巻線を持つ同期モータを二台のインバータを用いて駆動するモータ駆動システムです。高出力化や耐故障性の向上などの利点がある反面、インバータを二台使用することにより設置スペースが大きくなるという欠点があります。そこで、本システムの小型化が強く要求されています。特に電力変換器内部の平滑コンデンサは電力変換器の半分近くの体積を占める場合もあり、このコンデンサの小型化を目的とした研究が行われています。
図2 モデル予測制御によるコンデンサ電流低減法
コンデンサ電流実効値を低減することでコンデンサの小型化が可能となります。インバータ電流の高調波成分がコンデンサ電流となるため、インバータ電流を可能な限り一定に制御することでコンデンサ電流実効値を低減することができます。インバータ電流はインバータのスイッチング状態によって変化するため、スイッチング状態を適切に制御することで先行研究では、モデル予測制御を用いて未来の状態を予測し、複数ある出力の選択肢から最もコンデンサ電流を低減できる出力を選択する低減法が提案されています。
モデル予測制御によるコンデンサ電流低減法は、シミュレーション上で従来法(キャリアシフト変調法)に比べて約20%コンデンサ電流を低減できることが確認されていますが、一方で実機における低減性能は未検証となっています。
実機においてはシミュレーションでは考慮していない要素の影響により、低減性能がシミュレーションと比べて劣化する可能性があります。例えばデッドタイムはインバータ出力が切り替わる際に導通を防ぐための時間であり、切り替わるタイミングが指令とずれてしまいます。モデル予測制御によるコンデンサ電流低減法は二台のインバータ出力が切り替わるタイミングをそろえるため、デッドタイムの影響を受ける可能性があります。
図3 デッドタイム
本研究ではモデル予測制御によるコンデンサ電流低減法の実機検証を行い、低減性能に影響する要因を特定し、その解決を目指しています。