研究テーマ / Research topic
二重三相同期モータ駆動システムにおける実機実装を考慮したコンデンサ電流低減法
二重三相同期モータ駆動システム
図1 二重三相同期モータ駆動システム
二重三相同期モータ駆動システムは、二つの三相巻線を持つ同期モータを二台のインバータを用いて駆動するモータ駆動システムです。高出力化や耐故障性の向上などの利点がある反面、インバータを二台使用することにより設置スペースが大きくなるという欠点があります。そこで、本システムの小型化が強く要求されています。特に電力変換器内部の平滑コンデンサは電力変換器の半分近くの体積を占める場合もあり、このコンデンサの小型化を目的とした研究が行われています。
コンデンサ電流低減法
コンデンサの体積はコンデンサに流れる電流に応じて大きなものが必要になります。コンデンサ電流はインバータのスイッチング動作によって変動するため、先行研究ではインバータのスイッチング動作を考慮したコンデンサ電流低減法が提案されました。この手法はインバータのスイッチング動作のタイミングを管理することで図2のように二台のインバータへの電流供給量を一定に保ってコンデンサの負担を軽減します。
図2 コンデンサ電流低減法による電流供給
研究の目的
先行研究では理想的なスイッチング動作を想定しており、指令に対するスイッチングのわずかな遅れなどが理想化されていました。そのため実機ではスイッチングのタイミングが想定と異なり、図3のようにコンデンサ電流が増加する場合があります。
図3 スイッチングのずれによる影響
本研究では実機実装を考慮してよりリアルなスイッチング動作を想定することで、実機で想定通りのコンデンサ電流低減が可能な手法を研究しています。
現在の取り組み
先行研究で理想化された要素の内、インバータのデッドタイムがコンデンサ電流低減性能に及ぼす影響が大きいことに着目しています。これまでにデッドタイムを考慮してインバータ動作を想定するコンデンサ電流低減法を提案しました。現在は提案手法の実機実験に取り組み、実機におけるコンデンサ電流低減性能の検証を目指しています。