Shinichi MASAOKA – 道木研究室

Shinichi MASAOKA

名前:
正岡 真一
学年/肩書:
博士課程前期課程1年
役職:
したっぱ
グループ:
ロボット
趣味:
バンジョー
一言:
アイコンはイメージです。

研究テーマ / Research topic

身体との『接触状態』を制御可能な装着型アシストロボットの開発

English ver. 日本語版

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研究背景

動作支援用途の装着型ロボットにおいて、装着者の安全性確保は重要課題です。既存の装着型ロボットでは、ロボット関節部のトルクセンサにより人の関節部に加わる負荷を計測し、ロボットを制御することが一般的でした。しかしこの手法は、ロボット装着者の体表面に加える力を直接計測しているわけではなく、局所的に過度な力を加える危険性があります。
私は、装着者とロボットの接触部に圧力分布センサを搭載し、接触力分布情報を計測・制御可能なロボットによる安全な動作支援の実現を目指しています。

先行研究と問題点

これまで、腕部装着用のアシストロボットが実機制作されてきました。(ロボットの詳細)。しかし、そのロボットは特定個人の形状にフィットした形であり、ほかの人が装着でませんでした。したがって、ある程度誰でも装着できるようにしたうえで、その性能を評価する必要がありました。次の章では、ロボットのアップデート内容を紹介します。

先行研究で制作されたロボット

1. 外フレームとして、もっとも外側には硬い円筒形状のものが用いられています。変形せずに腕をアシストすることと、圧力分布センサへの外乱が少ない(面の曲率が一定かつなめらか)ことを考慮しています。

圧力分布センサのイメージ(色が明るいほど接触力が大きい)

2. SRセンサとは、圧力分布センサのことです。前腕部手の平側、手の甲側にそれぞれ5×5マス、1周が10セルでできています。1セルの大きさは、2cm四方です。

3. 接触部は3Dカメラを使って計測した個人の体表面形状を示す点群データをもとに、フィットするものを柔らかいシリコンを使って制作されています。

接触部に使った個人の体表面形状データ

 

 

ロボットの改良

変更点1:まず、ロボットのもっとも外側の円筒の内側に、内径を調節できるようにするアダプターを作成し、個人間の腕の太さによる違いを吸収できるようにしました。

変更点2:次に、ロボットのもっとも内側にあたるシリコンについてですが、これまで個人の腕の形状を3次元カメラでキャプチャし、ぴったりフィットさせていました。これを、完璧なフィットは犠牲にする代わりに、誰にでもある程度フィットするよう、成人男性平均体表面形状のデータをもとに作成しなおしました。

変更点3:最後に、制御にあたってどのような指令値を与えるのがよいか再検討し、制御プログラムを修正しました。

次の項では、実際に作ったロボットの評価実験を紹介します。

 

 

実験

今回は、作ったロボットが「本当に誰が装着しても価値のある接触力データを取得できるのか」、「試した制御方法でうまくロボットが動作するのか」、の2点を確認することを主な目的に、性能評価実験を行いました。

そのために、今回ロボットには2つの制御法を実装しています。

1つは、これまで主流だった、ロボットの関節部に取り付けられたモータのトルクに関心を当てた制御法。⇒トルクベース制御法

もう1つは、我々が目指している、『接触状態』を制御可能な装着型アシストロボットに欠かせない、接触力センサを用いた制御法です。⇒接触力ベース制御法

 

まず、被験者は何もつけない状態で腕を上げ下げし、次にダンベルを持った状態で腕を上げ下げし、ロボットをつけない状態での腕の動きやダンベルの重さを確認してもらいました。

次に、被験者はロボットを装着した状態でダンベルを持ち、ロボットにはアシスト指令(ロボットがダンベルの持ち上げを手伝ってくれる)を入れた状態で同じ動きをしてもらいます。もしうまく動作していれば、装着者はダンベルが軽くなったと感じるはずです。また、トルクベース制御法と接触力ベース制御法でのデータの違いを比較することで、2つの制御方法にどのような差が出るかを確認しました。

最後に、被験者はロボットを装着した状態で何も持たず、ロボットには追従指令(ロボットは、被験者の腕の動きに合わせてついてくるだけ)を入れた状態で同じ動きをしてもらいました。もしうまく追従できていたら、被験者はロボットをつけていなかった時と同じ感覚で、ロボットを操縦できるはずです。つまり、接触力がほとんど出ないことが望ましいでしょう。仮に大きな接触力が検出された場合、ロボットは腕の動きについてこられておらず、腕とロボットが突っかかっている状態になります。

これらの実験を通して分かったことを、最後にまとめます。

 

 

まとめ

まずはアシストの結果からお見せします。

被験者Aの前腕部手の甲側接触状態

被験者Bの前腕部手の甲側接触状態

図のように、腕の接触力が複数人で同じようにしっかりと取得できていることがわかりました。これにより、実験結果には被験者間で再現性がみられ、被験者によってでたらめな分布を計測しているわけではないことがわかりました。しかし、被験者全員に対して、同様にでたらめな数値を検出している可能性も否めないので、これからその検証をしていくところです。

次は追従の結果をお見せしましょう。

接触力ベース制御で追従した前腕部手の甲側接触状態

トルクベース制御で追従した前腕部手の甲側接触状態

さっきと違って、ほとんど接触力が見られないことがわかります。うまくロボットが追従できているようです。こちらも上同様、これからしっかりと吟味していく必要があります。

今回の結果では、2つの制御の間ではあまり差は見られませんでした。しかし、実際の数値で見たり、他のデータを参照すると、いろいろな差が見られます。その差をどう説明するのか、も現在の検討事項です。

また今回、同時にアンケートも実施しましたが、被験者の一部は共通して、「前腕自体は支えられたが、手首がしんどくてあまり楽には感じなかった」とコメントしています。おそらく、ロボットが前腕部しか覆っておらず、手首を支える機構がなかったための結果ですが、人々は意外と手首の負荷を大きく感じていたようです。こういったフィードバックを踏まえて、ロボットを改良したり、実験によって得られたデータを解析していくのが私の研究です。